ティルナノーグ【Tir Na Nog】に憧れて ※カテゴリから見て下さいね。新しい順だけど小説が並ぶので読みやすいです。_(._.)_あ、不思議な写真もよく撮れるので文中に貼りますね。

頭の中で奏でる世界。命尽きる前に音符に書き出したいです。ケルト神話の神々の安寧の地ティルナノーグ。【常若の国】と呼ばれるその地に想いを馳せながら現世を綴ります。

【夕焼け空編5】角あるもの、それは。。。

 

空洞は、雪国へのトンネルのようにぽっかりと訪問者を待つかのように静に佇む。
勿論!夢なんだから、行くよ!雪舞う中に!
空洞の壁は、瑠璃色の美しい鉱石で淡くブルーにぼわ〜と輝いている。
まるで氷河の中の洞窟。ずっと見ていたい。
#多分、。ラピスラズリだろう希少な鉱石だと思う、帰り持って帰ろうかな、あ、夢だ。無理。。#

空洞を抜けると、真っ白な雪の世界。
ギュッギュッと、ほんまものの雪国な感触が雪を踏みしめる足裏に来るね。
ギュッギュッ音しかしない静寂な世界。
針葉樹だろかツンドラな風景。
風は吹いてなく寒くもない。
小学二年の自分は、実は半ズボン姿。
雪は深くなく靴の高さまでで助かった。
シーンとする静寂の中、ある方向へと突き進む。
その方向を導くのは、木々の間にキラキラと瞬く小さな金色の光の粒。
キラキラと手招くように舞う金色の帯。
ギュッギュッと、進む内に森が途切れて視界が開けて来た。
ぽっかりと、白い空き地が現れ視界が開けた。
空き地の真ん中に大きな木が立つている。
金色の光は、その木に向かってキラキラと曲線を描きながら、ふわ〜りすーい、ふわ〜りすーいと飛んでいく。

おや、木の裏に何か居る。
金色は、木の後ろにスッと吸い込まれている。
何か出てくるよねコリャ。
案の定、出た!
軽く2メータはあるくらいのデカい、人。。。?が、のそのそと出てきた。
#デカイといえば、ジャイアントマックス!そう!その感じ#

頭に角がある、鹿のような角が。
角まで身長に含めたらそら~たまがる大きさで二メータは超えている。
優雅にのそりのそりと、木の前に出て来る。
〝ヨッ〟と、声と同時に右手を真っ直ぐに挙げて、手の平をヒラヒラさせる。つられてこちらも〝ヨッ〟と、小さい体で同じように、手を挙げてヒラヒラ。
〝メぇヘヘ~〟と山羊、そう山羊の鳴き声。
嬉しそうに〝メぇヘヘ~、メぇヘヘ~て鳴いている。
その場に胡座座りをする。。。
座り終えたら、また右手を真っ直ぐに挙げてヒラヒラ。
うーん、どうしよか迷ってると、背中を突かれる。
イタタタ、振り向くと黒いカラス。
が、〝今宵は、サウィンの前夜祭、誘われし者は、ケルヌンノスの招きを受けよ〟と、いきなりカラスがつらつらと女性の艶やかな声で喋くる。
小学生二年の我が身には、カラスはデカイ、怖いくらいデカイ。
それが艶やかな声で更に続ける、〝ケルヌンノスは、お主を待ちかねていた。
サウィンの日は、異界との境が薄くなり生き物と霊が交わりやすくなるダヌより賜りし稀なる時間の帯。
この時の刻みをしっかりと見つめよ!そしてその足を踏み出すのじゃ!〟肩に乗って耳元で喋る声は、不思議に頭の中にだけ響き、そのかん高い声音はある日本的な儀式の声音に似ているとふと頭をよぎる。

〝うーん行くか!ハハ〟用心深い自分にしては積極的なのは。。。
現世で辛いことがあった事も理由。
心根の通じる大事な後輩が早過ぎる隠り世への旅立ち。
その後輩の口癖、〝怪しい~先輩、先輩らしい~、ハハ。〟
行くかな、怪しいのは信条だしね、ハハ。

えーと、鹿の角な方の前、少し距離取って同じく胡座座り。
肩には、カラス止まらせて。
カラスは重たそうだけどね。
重さは感じないから不思議。
カラスの足は三本足あつて右肩左肩と頭の上とに器用に止まり木している。鹿の角な方から見ると、カラスの帽子被ったように見えるだろう。
鹿の角な方。。。
デカイ、座っててもデカイ。
顔は、チョッパーだ!チョッパー。
そうあの顔で眼だけが違う。
黒目くりり〜んではなくて、リアルだ、
山羊の眼。。。
山羊の眼つて見たことある? あれだよあれ、黒目が横長になって、神秘的な魔法的な眼。身体は体毛が毛皮状態ね。。。
毛皮で、胡座の横に見える足は、お~蹄ではない。人の足。。。
そんな外観だ。

〝神妙に!〟頭の帽子が、ぼそっと。
ちょつと、お尻の下に手を入れたり出したり落ち着きのない小学生に見えたのか、ぼそりと注意される。
気になるよ、お尻の下は、直接雪だよ雪。しかも半ズボンだし。。。
凍傷になるでしょが凍傷に!

唐突に神社の鐘の音がカランコロンシャリシャリ~と、ゲームのイベント音見たいに頭に響く!
〝本日はお日柄もよく、よくぞよくぞ。
参られました。心より感謝の意を奉りまするメぇヘヘ~〟、能楽師野村萬斎のような口上仕立ての男性の声が響く。
〝そそ、小僧!そなた様のお尻におかれましては、ご心配ご無用、我が魔法、いやさ、法力にて雪であっても春の日の草原としておりますれば、お尻様雪で冷えて腫れ上がる事も無しメヘヘ〟

そういうことね。
〝魔法、あ、いやさ~法力を使っておじゃるでござるであるでござるのか~メヘヘへ〟と口上仕立ての返答をする。
#魔法を法力と言い換えるとか日本人向けの気遣い?それにちょっと古めかしい言い回し#

〝あ、いやさ、小僧殿は、メぇヘヘ~は不用でありますれば、お気遣い無くで御座いますればメぇヘヘ~〟

いつまで続くんかい、メヘヘへ、ハハ。

〝それでおば、私めの紹介をば、我はケルヌンノスダーナ神族の血脈の祖なる、森羅万象とそこに棲まう命を司り、冥界にも通じるモノ也メぇヘヘ~〟
〝棲まうは、ティル・ナ・ノーグ:常若の国で神族郎党と彼の地にて平穏無事に住んでおりまするメぇヘヘ~〟
〝サウィンの祭り日の度に、小僧殿貴殿を誘い振り向くことを祈念する事、幾万回。
やっと叶う日が巡り来ました、長かった~。。。これも。。。〟

と、続く話をぶった切るカラス帽子。
〝あの~、お時間があまり御座いません事よ!〟と、帽子が割り込む。

〝モルガン嬢、そうであった!メぇヘヘ~〟
〝先ずは、今、夢世界を経て我と対峙するこの状況は、我が仕向けた仕掛けであり偶然でも夢うつつの気紛れでもない必然じゃメぇヘヘ~〟
〝それでは、まず彼の地を見ていただこう〟
帽子が呟く。
〝では、参りましょう!〟

行き成りブワ~んと、目の前が暗転。。。

【夕焼け空編4】そうゆう事なのね

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あそこか、あそこにあるのは、炎を纏った不動明王像。纏いし炎も石で造形されている。真っ赤に染められた岩の炎。
ただし、今はね、それ岩なのに揺れてるんだよ炎見たいに岩なのに。。。
#夢の中だからか、求めてるのかな自分が。炎が揺れる事を。。。
岩だけどね。。。#

風は~、ちょうど炎を揺らすように不動明王像の後ろから吹いてくる。
やはりその後ろが気になるから、
不動明王像に真言〝ノウマク サンマンダ バザラダン カン〟唱えて
精神をしっかりさせて横を通る。
#不動明王真言は、何事にも揺るがない剣の強さを精神に纏うだったかな。
母方の婆ちゃんから沢山教わってるから知ってる訳#

なんとなんと、不動明王像の後ろは、少し凹みだけど木の根とかが絡み出ている行き止まりだ。
#何故揺れる?風とそれに揺れる炎、岩なのに。。。は、
どう解釈するのよコナン君(笑)#

凹みをよくよく観察すると、そう岩清水の源泉が絡み合う根の向かう先にトクトクと湧き出ている。
その岩清水の源泉から風は吹・い・て・いた。
ゆらりゆらりと、岩の炎が揺らし照らす洞窟の壁面。
岩清水の源泉の水の中から不思議だけど風が吹き上がる。
よくよく見ると、岩清水の湧き出る源のポコポコ砂が舞う水底には、青い雪のクリスタルのような光がチカチカと瞬いている。
冷たい水面に触れ、そのまま指先を瞬くクリスタルに近づける。
キーンもドンドン大きく鳴り響く。。。
キーーーーーーーーーーーーん。
指先がクリスタルに触れたと、思った瞬間、消えた、止まったキーン。
ポコリ、ポコポコ、ボコボコガガガ~と、クリスタルから水が噴き出して、炎揺らめく炎の岩の背面に吹きかかる。
うわーっとほぼ水を浴びながら見ているとクリスタルからの水は和らぎ、元の穏やかな湧き水の源泉に戻った。
ビックリしたなモー。
と、クリスタルを覗き見ようとした時、猛吹雪のような、荒れ狂う雪と風に背中から襲われる。痛っ、寒い~と、振り返ると。。。
石の炎の背面に、ぽっかりと空洞が空いている。
その先には、雪景色とよくセットな針葉樹の木々が丸い望遠鏡で覗いたように遠くに見える。
そして、冷気が足元からコ~と、這い寄る芯から冷える本物雪国の冷気。
#幾ら夢の中とは言え、記憶の扉の記憶の断片は真夏。
雪国の冷気で凍結していく地面、リアル現世では真冬の仙台の凍結道路の経験があるくらいしかないからここまでリアルに再生出来ないけどな〜?と。。。
しかも岩清水の源泉も凍りが張っているのは、ちょっと想像力超えていないかい!#

空洞は、雪国へのゲートのようにぽっかりと、招き入れるようにしーんと静かに佇む。。。。さて、そうゆう事なんだね。。。

不動岩とは? ※出張お疲れ様です。柳さん。お見舞いに一話追加です。

不動岩の情報です。子供の頃よく山歩きした山です。 

詳しく記事されているURL紹介致します。

power-spot22.com

 

 

 

 

【夕焼け空編3】菊の残り香の誘う先は。。。少年の日の自分だった

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眠りに入る
菊の香りがまだ残っている。
風呂めし終えたら23時過ぎた。
寝ようか布団に潜ると、菊の香りが鼻に残っていた。
時計を見ると、11時11分。何気なく時計を見ると、よくこのぞろ目。
しかも今日は11月1日であるからぞろぞろぞろ目が大満載!
毎度よくあるから、何かオカルティックな巡り合わせじゃないかと思ってしまうけどね。

ふとね、去来した想い。
電照菊の残り香が、記憶の扉・夢の世界へと誘ってくる。
深くダイブせよと、強い思念が誘うかのように。。。

そうだね、どうせ明日も電照菊。
摘み取られるを待つよりは冒険に出掛けよう!
戻って来れないかもだけどね^^
菊の残り香で普段の恐怖心、警戒心が薄くなったのかな。行こう!

眠りに入ろう、菊の残り香が、誘うままに意識を委ねて。。。
〈コトン〉と眠りに落ちる。

おお、この感じ感じこれは目が覚めても夢を覚えている感じだ!
不思議とそう思う。
夢である自覚もしっかりと意識できている!ヨーシ、行くか!
夢の中だから、やりたい事まで一足飛び。
ボワンと、記憶の扉が目の前に出現する。
ドアなんて探す必要なし。
深くて淡く光沢する紫色の扉。白く輝くドアノブをゆっくりと回す。
#このドアノブ毎度、握り返してくる感じがするんだよね#

扉を開け放つとむーんとする夏の空気とミンミン蝉の声。
少し視線をラウンドビュー。
すると、、自分が居た居た!居た〜と、
知覚できる!今ラウンドビュー視点に映る自分の考えが。。。
そう思った瞬間。
上から視点して眺めていた小学校二年生の自分にふっーと
同化して夢の中に着地する。
#まるで憑依だね!#

基本、夢の中は、記憶の扉の中に備蓄された記憶の塊を〈現〉から入った現世の自分の主観(興味や思い入れ)で夢の中で再構成されると考える。

この日の小学二年の自分は、夏休みで親父に近所の山にクワガタムシ採りに連れて行ってと頼むのに必死な状況だった。
大親友である“一法師君”に、クワガタムシ採りに親父が連れて行ってくれるからと、既に約束していたから。。。
ごねてたら、お袋が「早よ、車に乗らんね」と外から声を張る。
外では、親父が車のエンジン吹かせて待っていた。ぶっきら棒で仕事をよくサボる親父だけれど、このような子供的なお願いはお袋の陰からの口添えが強力にあるにしてもよく聞いてくれる。
実は内心は、自慢の親父なんだ。。。

車で、“一法師君”ちに寄って拾って行く。
さあ、向かう山は、不動岩と呼ばれる山。
遠望すると山の中腹上寄りに、20階建てのビルに匹敵する実測80mの巨大な人面岩が突っ立つように鎮座する。見た目、神秘的な雰囲気漂う神話の頃よりそこにある圧倒的存在。

岩成分は太古に海底で変斑糲岩が積もり圧縮し、それが地殻変動で隆起した。
言うなれば、君が代にある、さざれ石の巨大な塊となる。
山の裾野から中腹までは、ミカン畑が続く開墾された長閑な山裾。
クネクネと、蛇のとぐろのような道を車は不動岩の巨岩への入口近くの駐車スペースまで登っていく。
蛇行する道は、コンクリートのブロックを置き並べたような作りでその連結部分に、接合のための生ゴムが敷設されておりその上を車が通る度にボコンボコンとバウンドする。
#少し酔いそう。。。# [ココも憶えようと思ったのを覚えている。小さな軽を運転する親父の真剣な横顔を憶えているだろうと心に強く思った事]

着いた!
標高389m鹿本平野が一望でき家々がマッチ箱に見える高さ。

お目当てのクワガタムシが集まるクヌギ林は、不動岩が鎮座する祠へと続く森の中の秘密の場所にある。
必ず、そのクヌギの木には、クワガタ、もしかしたらミヤマクワガタが居る。ただし裏側にはダゴ蜂のおまけ付き。

クワガタは、夕方涼しくなると、クヌギの蜜を吸いにお出ましになる!
親父を急かしていたのはこのゴールデンタイムに間に合うため。
親父は、車に残るから一法師君と二人で車から飛び出し秘密のクヌギの木に向かう。
もう大漁は確約。。。の筈が!
なんと、クヌギの木の蜜の穴に、焼け焦げた硝煙の黄色い痕跡。。。
火薬の後だ!
やられた、誰かに秘密が露呈して、そして先を越された。。。
下品な輩の仕業だ、クヌギの木の穴に隠れているクワガタを強引に引っ張り出そうと穴を大きくするために2B弾を使った乱暴な手口。
クヌギの木の明日なんて関係なしの連中の仕業だ。
一法師君も憤慨している。
まだ夕暮れ迄には時間がある、仕方ない。。。
ここは諦めて新たなクヌギの木を二手分かれて探すことにした。

二手は、一法師君は森の下側、
僕は不動岩がそびえる山の上側へと続く小道へと分かれた。

森の中を細くクネクネ小道が、巨大な人面岩のある真下へと続く、小道の終わりに森も終わり視界がバーーンと広がる。
ゴツゴツした岩肌に覆われて、グーッと顔を九十度反らして仰ぎ見ても
見渡せない不動岩の巨大な人面が生首として鎮座する。
生首であるを物語る一面の土は赤土で、真っ赤。岩肌は、太古に積もった変斑糲岩が、さざれ石と成りし神話の国日本ならではの伝説の場所。
こんな人が通りそうな道沿いには、秘密は見つけられないやと不動岩の首元にある不動明王の祠にお賽置いて、不動岩にもクワガタ見つかりますようにと話しかける小二の僕。
少し斜め上からの目線の現世の自分は夢だから返事してよと思いながら。。。

「コチラヘ」と、そびえる不動岩が腹話術みたいに応えた!
やはり、夢はそういうもんだあ。

ここまでがあまりにも現世と同じようなリアリティライクな進行速度と、物理法則、常識的な規範を守った流れで進むので。。。
夢なのに〜と思っていた所だった。

でもコチラヘと招く先は、今来た小道と不動岩の祠を真ん中に反対側にポッカリとトンネルのように、暗い森に誘う入口。
どわーッと、息が出来ない程の強い風に吹きつけられる。
まるで突風だ!ちょっと入って見る。今来た小道と同じく、森の中を小道が続く、森の密度が濃いのか、かなり薄暗い。
下に向かう下り道だな。その先は、前に探検してるから知っている。
昔、修験者が修行の場とした大きな広場を伴った大きな社屋がある場所に通じている筈。
でも日暮れが近いからか、森は抜けたけど広場は暗い。。。
風は未だに肌に強く当たる。何処から吹き込んでいでいるのか、人差し指をちゅぽっと口に含んだ後に指を立てる。指が冷んやりする方向を頼りに、歩み進めると。。。見つけた!

風は、岩清水が湧く大きな岩の裂け目のような洞穴から、ゴーっと吹き出ていた。
覗き込むと、岩清水が流れる道となる小川が、奥へと続く。
三途の川のような小石を積み上げたものが至る所にあって、洞窟の縁には蝋燭が灯っているようなキノコ?が群生して異様な雰囲気を醸し出している。[後で知った:キノコ類の名称はキツネノロウソク]

〝ハハ〟そうなのね!風の音はピタリと止み。
強い風圧は肌に感じるも、警告音キーンが聴こえまくっている。
記憶をたどるこのダイブで危険と思うキーン音。
それはココから。。。ココから聞こえていたのか!
と、小学生の我が身の夢姿の中に居る現世の自我が呟く。

記憶の再構成とは違う存在を自分の記憶の扉の中に感じた。
ちょっと、身震いする。。。
#戻れないかも。。
ま、割としっかりと覚悟はある〜かな、元よりそのつもりだった#

さて、入るか。
岩の裂け目に、ゴロゴロした足下をホイホイと小学二年の小さな身体でジャンプしながら中に入る。
木の根やらが、突き出ている洞窟内、そのずっと先に人の姿が朧気に見える。
もっと奥へと進む。。
菊の残り香が、その奥からこっちだと漂い誘ってくるから。。。

【夕焼け空編2】何もかも忘れた僕は臆病に生き、電照菊な日常に溜息一つ


〈ふぁー〉と息を吸い込み〈ふぅー〉と息を吐きながら涙目欠伸混じりの溜め息。
今日の仕事終わり〜と、会社の裏口の自動ドアをくぐり抜ける。
#脱出っ~う(笑)#

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いつものように液晶腕時計は22時。
左斜め前には、福岡タワービルのイルミネーション。
その中を巨大なLED電飾の金魚が泳ぎ回る。
もう写メも撮ってるから今夜も「また泳いでいるね〜」と呟き、
巨大金魚をチラ見してバス停へと向かう。
〈パツン〉と鳴るようにイルミネーションが消灯する。

22時を過ぎた訳だ。
暗くなったタワービルの前に眩く皓々と光り輝く、不夜城で名を馳せる
某大手通信ソフト会社ビルが横たわる。
恋い焦がれ入社した会社。
憧れたね当時はね。

不夜城、その中で技術と格闘する事、それに所属する事。誇りだった。
そう、誇りだった。。。な〜。
今、目にするその横たわるビルは、郷里でよく見てた早期育成の電照栽培の菊のビニールハウスに見える。

森羅万象の摂理を人が都合よく利用し自然を無視し、生命体である菊を工場のラインに並ぶ無機物扱いにした人の我が儘の成した仕組み。
宛ら自分を早期育成の菊に見立て、生命体で理性まである人でありながら工場のラインに並んだ菊のような人工の摂理を唯一と思い込まされ電照菊と成って早20年か。
そんな考えが支配的だと溜め息も一つくらい出てくるのだろうね~。
バスを待ちながら、
唐突に人のね人生ちゅうものをぼんやりと考える(笑´∀`)。。。。

〝ありゃ〟もうバスが来た。
何時ものように座ると決めているバスの後部座席の右端に座して目を閉じて、何時ものように脳細胞の記憶の扉をノックする。
今日の記憶の扉は、電照菊のビニールハウスの扉をノックしようかな。

目を瞑る。瞼の裏の暗闇。その真ん中寄りに視線を集める。
扉が浮き上がる!

扉を開けると、咽せるような菊の薫り。
〈キーン〉と、耳の奥が共振している。
記憶の扉の中に深く意識をダイブすると、
たまにキーンと共振音が大きくなる時がある。
怖いんだよね~キーンの時に更に深くダイブするのは。。。

想定するは、よくある突然死ちゅうやつ、あれって何で突然逝ったか、、
そりゃあ、誰にも分からない。
だって生還しないから本当の所は分からないだろう。

自分脳みそが考える本能的推論でこう考える。
キーンの鳴動する先に突き進むな!
きっと、現と今生の別れとなる突然死という形が待っている。
だからキーン警告音の鳴動時は絶対に記憶に深くダイブしては、
い・け・な・い!

扉の記憶を開けると、それは当然自分の過去に経験した事が仕舞われた部屋だから、部屋の中には五感にも通じる現世と同じように感じる感覚も記憶されてる。

扉の中にあった電照菊のビニールハウスの咽せるような菊息れは、
キーン警告音で引き返したけど、ず~っと現実味を帯びて鼻の奥に残ったままだった。