ティルナノーグ【Tir Na Nog】に憧れて ※カテゴリから見て下さいね。新しい順だけど小説が並ぶので読みやすいです。_(._.)_あ、不思議な写真もよく撮れるので文中に貼りますね。

頭の中で奏でる世界。命尽きる前に音符に書き出したいです。ケルト神話の神々の安寧の地ティルナノーグ。【常若の国】と呼ばれるその地に想いを馳せながら現世を綴ります。

【夕焼け空編1】丘の上に吹く風に。

一日の中で、間違いなくゴキゲンな一時がある。
それは夜の帳が降りて眠りにつく前。
まるで、映画の上映を待つ思いに近い嬉しさ満々なゴキゲン。

「ウ〜」って、横になって伸びをしてね。
一日の終わりを受け取る瞬間。
確実で至高の一時だね。

あとは、眠りにつくだけ。ゆったりと身を委ねるだけ。

そんな眠りに関することで、
ずっとずっと、一貫して憶えている事がある。
今も、あの頃も、夢の中でも。

それは、小学生の頃、
小高い丘の上。
いつも強い風が吹いていた。
夕焼けを背に遥か向こうに見える不動岩に、
〝今この時を何時でも思い出すように心に刻む。我は求め訴える〟、
〝○×△。。。(この部分の言葉は書いてはいけない気がする)〟
と叫んでいた。

そこは農地の区画整備工事で出来た人工の土の小山。
あの頃、夕方夕飯の後に小高い丘まで歩いて
丘の上に立って、風に向かい
何故か、この奇行を繰り返していたことを。。。
夕日の中から今帰ってきたように身近に憶えている。
ジンワリと素肌に感じる夏の汗と夕日の赤を伴って。。。

夢の中で蘇るこの刻んだ記憶。
そう、今考えている自分は夢の中。
未来にあたる自分が傍観している筈なのに、未来である現実の方が夢であるように思え、明日になれば、小学校に登校して夕飯後に丘に立つだろう事。
こちらが、本流のように至極普通に知覚する感覚。。。

まるで今と、昔と、全てが一括りの中で繋がっていて、
それはドアの向こうのような見近さですぐ隣に在り、
先も昔も扉を開けるが如くに往き来する事も
まさに、ドアを開けるが如く当たり前な事、そんな感覚。。。

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【遊びをせんとて編6】そいつの正体は!

 

〈ギーギーギー〉、今では巨大な空洞と化した御影石のある居間“?”。洞窟内に反響してこのギーギーギーが何処から発せられているか人間なら分からないだろう。しか〜し、オケラの身であれば、お尻の先にある2本の触覚が音波探知機のように作用して頭の中にレーダー画面で表示、、、ココです!と表示される。
それは私の真上に居た。
天井までの高さは堀に掘ったもんで天井の壁面は人の視力では鮮明に把握出来ない程に高い。え〜と、オケラの身ならば暗視機能付きの眼もあるけど、流石地中の住人である故の第3の知覚器官がある。多分、電磁探知機。暗視視力と電磁探知の画像が脳内に180度天周3次元フィールドに画像として展開される。
居る!居る!
〈ギーギー〉鳴く“?”度に、私オケラのお尻の触覚がそいつの姿を鮮明に具現化する。
もう一つおまけに、お尻の2本触覚の中間にぷくっと出ている小さな突起を〈プルルン〉と震えさせる。すると、頭の中に〈ピキーン〉と澄んだ音色が走り去る。そうソナーだ。人の言う事だとね。
※本来、人は自然の生き物がその環境下で際立たせた特異な能力を科学力で身に付けてきた。自然の生き物にとってはウンコする程に普通な事だけどね。排泄の仕組みを科学で真似ようとしても到底辿り着けるもんじゃないけどね。

なんと、なんと、オケラの私はソナーも普通に操る。屁をするが如く。

さ、そいつの全容。見えてきた見えてきた!

瓢箪のようなくびれの極端な体に左右4本ずつの体よりも長い手脚“?”。

これは、蜘蛛ですな蜘蛛!

頭の中の3次元フィールドで自分と比較しての大きさも推測像として確認できる。私の2倍以上の大きさだ。
ソナー音を蜘蛛に照射したのが刺激となったのか、お尻から白い糸を出し、それにぶら下がるようにゆっくり降下してくる。
ゆっくり。。。う、〈シュルシュルしゅルルル〉と急に降下速度が速まる。やばい。。。

【遊びをせんとて編5】ラビリンスに乗り込んで来た異質

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食物を際限なく喰いまくる、するとラビリンスも拡張。倍々ゲームで全てが拡張路線の日々をどれだけ過ごしたのか。土の中の暗闇でも視力は良くて何ら不便もなかったけど最近変なのよね。根っこを食べようと大きなシャベルのような手を出すと光ってるんだよ。〈キラキラリン〉と、然も黄金に輝いてるんだよね。オケラは元々体毛が黄金色だったのを覚えているけど、この黄金色の輝きは内側からの発光。眩く光る黄金色は身体全体、触覚の先っぽまでも全てが発光している。まるで歩くシャンデリア。〈キラキラリン〉と、暗闇の中の太陽。ポツリと暗闇の中に光り輝く、けれど誰も居ない独りっきりの静寂。いつも御影石のある場所に居る事が多い。自分の居心地の良い場所なんだ。非常に心地良い、人だった頃もずっと独りに成りたかった。そんな気持ちと裏腹に回りは、賑やかしの真ん中に自分を引っ張り出した。それなりに賑わったら、〈フッ〉と消えた。独り、人の輪から離れて土手や川辺で佇む時、沢山沢山の何物かが語り掛けてくるその聴こえない声に耳を傾ける事が一番の憩いのひと時だった。そんなあったのか定かでない人だった頃と思われる記憶を辿りながら、正に今が至福のひと時を手に入れている事に、実は嬉々とした喜びに居て心の中は満たされているのが分かる。そんなかんなで時間を過ごすオケラの僕は長い長い、悠久の大河をずっとずーっと過ごして居た。


人は独りだと寂しいと感じる。それは思い出が無いからかも知れない。正確には思い出を思い出せない、思い出す術を無くしてしまっている。インディオ族やアイヌ族、チベット族の様に固有名で有名な先住民族はある種の先人との魂の繋がりや自然の理と共に歩ゆむ術を希薄でも現代にも受け継いでいる。それら一氏族の命脈で最も多くの人口数を維持する民族は言うまでもなく日本民族となる。血の命脈を幹として揺るぎなく生命を紡いできた民族。確か自分も日本人だったと思う。

記憶を辿ると小学校の入学式の緊張が蘇る。友だち百人出来るかな?とテレビで聴いた歌が物凄いプレッシャーだった。そんなに出来るかな〜?どうやって築くのだろうか?不安要素だらけ。。。そんな緊張感を記憶の中だけど、心に芽生えたとき、それは居た。

 

 

 

 

 

 

【君を捜して編10】樹海の道案内 副題:追撃!思いは優しくそよ風に吹かれ。

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◇ 巨人が魔女“ルサールカ”の娘から貰ったブローチ。そのブローチから必殺のナイフが“御君様:ゆうや”を狙う。“リノーチ”の捨身の防御と“ハクア”、“ジーク”、“ミケ”の防御の構えの中、現れたのは慈悲無く支配するモノの女将軍“ベルフェゴール”。妖艶な女魔族から漂うのは危険な力。強大な敵の出現で、隠密裏に引率していた“砂かけ婆さん”が表に姿を現わす。対峙する間もなく、“砂かけ婆さん”は命を賭ける戦いとなるを悟り、孫娘の“砂姫”への今生の品を“ミケ”に託して必殺の技を繰り出す。結果は相討ち。“砂かけ婆さんは”致命傷の中、末期の言葉を遺し砂塵に帰した。“ベルフェゴール”は黒い霧化して逃亡する。◇

 

〈シクシク〉“猫娘:ミケことくつ下”ちゃんの涙は止まらない。。。

「お婆。。。。」小さく呟く。

 

一陣の風に乗って、黒い霧と化した“ベルフェゴール”が逃げを打つ刹那。

背筋が瞬間冷却されて心臓が凍てつく痛みを覚える程の〈ゾワリ〉とした空気の脈動が走る。“ミケ”だ!表情が一変している。目が釣り上がり、口が裂け、野獣の牙が光る、その纏う雰囲気は闇そのもの。

“ミケ”がいた場所に彼女の姿は無い。

樹海の森を突き抜けた遥か上空にその姿は跳躍していた。全てを奈落に引きずり込む様な漆黒のオーラを纏って。

「逃すか!“ベルフェゴール”」その声は〈ウォンウォン〉と、共鳴する怒迫力の音量で響き渡る。

その時、僕は“ベルフェゴール”の黒い霧がニャリと笑った感触を感じる。イケナイ!罠だ。

“ミケ”ちゃんは、高高度からの必殺の猫爪!無塵を閃かせ高速の滑空状態に入っている。間に合わない。止めないと!と必死に心で念じながら「“ミケ”ちゃん危ない!罠だーー!」と叫ぶ。

〈パキーン〉何かが割れ砕け、一瞬辺り一面がモノクロになり

空間が〈ドックン〉と慟哭した。あの時と同じだ!

〈どっくん〉今度は。。。僕の体の内側から慟哭が呼応する様に打たれる。

体の異変に戸惑う感はあるけど、無理は承知で“黒い霧:ベルフェゴール”に待ったをかけるが如くに手を突き出しながら駈寄る。

砂かけ婆さん”が食らったあの斬撃波が頭を過るが、〈どっくん、どっくん〉と湧き上がる熱い息吹に何故かその不安も掻き消される。

〈ギュイーン、ピシッ〉と僕の手の先前方で空気が響く。斬撃波が来たのか。でも弾かれた!その刹那、うー熱い。体が燃える様に熱く滾る。体の真ん中からオレンジの光の迸りを噴出して体全体を覆う。

〈どっくん〉という慟哭の中に自分自身の声を聞く。

「封印を解くは今ぞ!目覚めよ!仁なる勇気の七色の光臨よ。」

瞬間、僕は“ベルフェゴール”の黒い霧を突き抜けてその向こう側に立っていた。駆け抜けた軌跡上の黒い霧は〈チリチリ〉と霧の粒子レベルでマグネシウムの火花のように燃え散り消える。

あっ“ミケ”ちゃんは!。。。〈チリチリ〉と最後の火花が散ったその斜め後方の上空に、〈きらきら〉と光を反射する銀色の粒に覆われて“ミケ”ちゃんは浮遊していた。“ミケ”ちゃんの少し前方に弓状に凹んだ銀色の粒が〈きらきら〉と光を反射している。その銀色の粒一つ一つが優しく優しく微笑んでいるのが分かる。

 

“ミケ”ちゃんが静かに降りてくる。暫く銀色の粒は“ミケ”ちゃんを包んでいたが〈ふわーっ〉消え去って行った。立ち居る“ミケ”ちゃんが振り返り僕を見て〈ニコリ〉と微笑んだ。もうあの獰猛な漆黒のオーラは纏っていない。

 

「“御君様”命を助けてくれてありがとうニャ」あたしあたしを“御君様”の臣下にしてくれないかニャ?命を賭してお仕えするニャン!

 

「臣下だなんて。。。こちらこそお願いねするよ道案内!」

 

ニャ〜と満面の笑みで手首を丸めて顔を洗う“ミケ”ちゃんこと“くつ下”ちゃん。僕は、“ミケ”ちゃんが小声で呟いた「お婆、ありがとうニャ」をそよ風のように心地良く確かに聴いたよ。

“ミケ”ちゃん!君には笑顔が似合うよ「ミャー」

 

◇さて、【君を捜して編】の荒木勇也、葵美波、ジーク、白鴉(ハクア)、くつ下ちゃん主要メンバーが出揃い、Shangri-la目指しての冒険が始まる段まで来ました。一旦、他の【夕焼け空編】に話を移します。また、【君を捜して編】の冒険編に逢えるまで一先ずは。。。つづくであります◇

 

 

【君を捜して編9】ダイバーシティな樹海世界。。。 副題:巨人族が仕える圧倒的な力とは〉

 

◇ 巨人に襲われて大ピンチ!怪猫_猫娘“くつ下ちゃんこと、ミケちゃん"が駆け付けてくれて圧倒的力で巨人を倒す。巨人の尋問は、怪猫の恐ろしさを垣間見る事になる。“ハクア”が巨人を手当して巨人が口を開く。◇

 

 

「我、慈悲なる心に触れるは初めて。古の言い伝えに仁なる心の光を持つ勇者の話。それは、神なるを思うが如きに巡り合うは夢また夢。我、今ここに夢の勇者を目の前にする光栄に身震いする也や」

「我、ギガント族の第三王子にして一族最強の棍棒を振るう戦士也や」

「許される事なれば、軍団の末席にお加え頂けないもの也や」

 

“ギガント族”確かギリシャ神話で出てくる神と対峙した一族。この世界は、魔女、妖怪、ギリシャ神話と様々に入り乱れる混在世界なのか。その世界で人は人族なのか?出くわす者が全て本や言い伝えの中の架空と思っていた者らである意味ファンタジー。だけど、目にする出来事はあまりにも生々しい光景。

 

「で!名前は?名前が先だニャ!ニャンニャン」

〈ヒーーーーーーー〉「な、な、名前で御座いますかあ!」

※みるみる巨人“ギガント”が青ざめてゆく。〈ぶるぶる〉

 

「申し訳けけ。。。御座いません」〈ぶるぶる〉

「“リノーチ”と申しますす」〈ぶるぶる〉

 

「そうニャン!ちゃーんと名前は言わなとニャ」

 

「はいいいい」〈ガクガク。。ぶるぶる。ガクガク〉

「はいが小さい!にゃん」

〈うえっっっっhガクガク。。ぶるぶる。ガクガク〉

“リノーチ”は白目を剥いて卒倒する。口から泡。。

 

こりゃトラウマになるな〜。もう完全に天敵確定。

それにしても巨大な小山もある巨人が、人間の大きさでも小柄な猫娘に恐怖して気絶するとは。。。一体、あの覗き込んだ猫娘の顔に何を見たのだろうか。

“ハクア”が「“御君様”事態が落ち着きましたので作戦会議を招集しては如何でしょうか」と進言して来た。

そだねー」と答える。

「御意」と、陣幕内の作戦の間に集合下さいと触れ回る。

 

作戦の間に集まったのは、〝白鴉:ハクア〟、〝ジーク〟、“くつ下ちゃん”、

〝ギガント族:リノーチ〟、そして〝みなみ〟ちゃん。

またまた、僕は大将席に座らされる。

 

議題は大きく二つある。

1)“くつ下”ちゃんの案内で樹海を抜けてシャングリ・ラに向かう作戦について

2)ギガントが襲って来た理由について

 

短そうな2)の議案から討議することにする。話は簡単、“リノーチ”に聞けば良い。“リノーチ”が話し始める。それは、“ルサールカ”の差し金だった。なんとまだ僕を諦めていないのが分かった。でもここで僕は不思議に思ったそれは“ルサールカ”の屋敷には耳障りな狐人間や槍鬼が居たが、低レベルな魔物を配下としている“ルサールカ”が神話レベルのギガント族やガーゴイルのようなハイレベルな魔物を使役できるのだろうか?何か引っ掛かる。

ハイレベルの魔物を使役できるもっと大きな存在があるのではないだろうか?

そこに“ハクア”が質問を投げる。

「ギガント族への“御君様”襲撃の依頼は、“ルサールカ”一人でもたらされましたか?他に誰か一緒に居ませんでしたか?」

「老婆“ルサールカ”の娘が居ました。妖艶な娘で怪しき美しさが漂っておりました。」

 

「その娘は何か話しませんでしたか?」

 

「“御君様”は樹海を滅ぼす悪と涙ながらに説明され、初顔合わせの記念にとこのブローチをくれました。」

と、“リノーチ”が手に取り見せた途端、ブローチから禍々しい漆黒の霧が噴き出し始める。“リノーチ”は、ブローチを身体で覆い、“御君様”に影響が届かない様に捨身で庇おうとする。地面に伏した“リノーチ”が〈モコモコモコ〉と身体をへの字にして空中に浮き始める。あの小山の様な巨体が軽々と浮遊し、目線の高さまで浮くと停止して〈グルグル〉と回転し始める。回転はどんどん加速して〈キューン〉と弾き飛ぶ。

ブローチだけが、漆黒の霧を噴き出しながら浮遊して残る。

何時の間にか、僕と“みなみ”ちゃんの周りがライトイエローの光に包まれている。鴉天狗の光のバリアだ!

「“御君様”黄燐幕を張りました。暫し、ご窮屈ご容赦下さい」と、“ハクア”が声を張る。

〈ピシッピシッ、ピシッ〉と、3本のナイフがライトイエローの幕に突き立つ!

イカン、鴉天狗!“御君様”を守るのです!!!!」“ハクア”が叫けぶ!

 

「ミガーーーーァ」“くつ下”ちゃんが必殺の爪を剥いて飛び掛かる!

「チクマクチクマクシャラララア〜、カーバンクル、ピキーンピキーン」“ジーク君”の詠唱が響く!

ほぼ同時!その刹那。。。

〈パラ、パラパラ、パラパラパラパラ。。。〉とゲリラ豪雨の様に砂が降り始めて砂で数秒視界が遮られる。

〈シュパーン〉と視界が晴れる。

視界に現れたのはブローチの周りを〈グルグル〉と砂が円球状にすっぽりと取り囲み回転している姿。

 

「いててて、もー砂かけ婆さん!あたしまで弾かなくていいんじゃないの」と“くつ下”ちゃんが地面に倒れて〈ぷんぷん〉している。

 

「やれやれ、若造どもに任せるとコレじゃて」と、地面が隆起して見る見る人型を形どる。造形された人型は、腰の曲がった老婆。自分の背丈の2倍の長さの杖を持っている。

「ちと、話は後じゃ、皆の衆“御君様”の側に移動してお守りするのじゃ」

「まだ、事は終息しておらぬぞ!さ、早うせい」

 

円球状の砂が〈パラ、パラパラ〉と綻び落ち始める。

 

「かなりの霊力じゃな、伴天連の化け物かえ」と杖を構える老婆。

 

「アハッハハハ、よくぞ。私の罠を封じましたね。褒めて差し上げますわ」

球体状の砂の中のブローチが小爆発する。砂で封じてあるので爆炎が球体内部で燃え盛るが外には出ない。炎が収まると人影が現れる。もう球体状の砂も消え去っている。

「お初にお目にかかります。私、慈悲無く支配するモノの女将軍“ベルフェゴール”と申します。以後お見知り置きを。。。」

「っ〜て、アハハハハハハ、そんな又なんて事有りゃしませんけどねぇ!」

ベルフェゴールが、漆黒のドレスを翻し右腕を顔の前から振り下ろす。斬撃のような衝撃波が飛ぶ。

〈バシュッ〉と砂かけ婆さんの左腕が〈ボトリ〉と切り落とされる。

砂かけ婆さんは、痛がる風もなく毅然と“ベルフェゴール”を睨み据えて微動だもしない。

「“ミケ”ちゃんやい、頼まれごとのお願いじゃ!孫娘の砂姫にコレをわたしてくりょ」と懐から巾着袋を出して、“ミケ”ちゃんに投げる。

「それでは、この生意気な伴天連の女を懲らしめるとするかの〜、《砂瀑布》」年の功なのか、会話言葉の中に呪文を織り交ぜるフェークを使う。

 

「しまった!」“ベルフェゴール”が顔を引きつらせて舌打ちした瞬間。。。砂の滝・瀑布に包まれる。降り注ぐ砂は、遥か上空から雷鳴を轟かせながらピンポイントに落ちてくる超重量の杭と化す。一瞬で“ベルフェゴール”は、ぺったんこになった。

だが、不意をついた砂かけ婆さんも袈裟斬りに斬撃を受けて身体が分断されていた。斬り裂かれた傷から砂が〈ポロポロ〉と漏れ落ちる。

時間が止まった様な静寂に包まれる。

「“御君様”誠に申し訳ございませぬ、初対面の儀礼も行わずこの様な醜態で最後のご挨拶をする事になりお許し下され。」

「ババは、大きくなられた“御君様”のお姿見れて嬉しゅうございまいたぞ。」「“ミケ”や!砂姫を頼むぞ、お姉ちゃんでござるからのぉ」

猫娘:ミケ”に声を掛け終わると同時に、砂かけ婆さんの身体は砂塵に帰す。

 

“ベルフェゴール”の居た砂の山から黒い霧が仄かに湧き上がり、密かに密かに逃げ去る。。。

 

二つの巨怪が一陣の風と共に消え去った。