【君を捜して編9】ダイバーシティな樹海世界。。。 副題:巨人族が仕える圧倒的な力とは〉
◇ 巨人に襲われて大ピンチ!怪猫_猫娘“くつ下ちゃんこと、ミケちゃん"が駆け付けてくれて圧倒的力で巨人を倒す。巨人の尋問は、怪猫の恐ろしさを垣間見る事になる。“ハクア”が巨人を手当して巨人が口を開く。◇
「我、慈悲なる心に触れるは初めて。古の言い伝えに仁なる心の光を持つ勇者の話。それは、神なるを思うが如きに巡り合うは夢また夢。我、今ここに夢の勇者を目の前にする光栄に身震いする也や」
「我、ギガント族の第三王子にして一族最強の棍棒を振るう戦士也や」
「許される事なれば、軍団の末席にお加え頂けないもの也や」
“ギガント族”確かギリシャ神話で出てくる神と対峙した一族。この世界は、魔女、妖怪、ギリシャ神話と様々に入り乱れる混在世界なのか。その世界で人は人族なのか?出くわす者が全て本や言い伝えの中の架空と思っていた者らである意味ファンタジー。だけど、目にする出来事はあまりにも生々しい光景。
「で!名前は?名前が先だニャ!ニャンニャン」
〈ヒーーーーーーー〉「な、な、名前で御座いますかあ!」
※みるみる巨人“ギガント”が青ざめてゆく。〈ぶるぶる〉
「申し訳けけ。。。御座いません」〈ぶるぶる〉
「“リノーチ”と申しますす」〈ぶるぶる〉
「そうニャン!ちゃーんと名前は言わなとニャ」
「はいいいい」〈ガクガク。。ぶるぶる。ガクガク〉
「はいが小さい!にゃん」
〈うえっっっっhガクガク。。ぶるぶる。ガクガク〉
“リノーチ”は白目を剥いて卒倒する。口から泡。。
こりゃトラウマになるな〜。もう完全に天敵確定。
それにしても巨大な小山もある巨人が、人間の大きさでも小柄な猫娘に恐怖して気絶するとは。。。一体、あの覗き込んだ猫娘の顔に何を見たのだろうか。
“ハクア”が「“御君様”事態が落ち着きましたので作戦会議を招集しては如何でしょうか」と進言して来た。
「そだねー」と答える。
「御意」と、陣幕内の作戦の間に集合下さいと触れ回る。
作戦の間に集まったのは、〝白鴉:ハクア〟、〝ジーク〟、“くつ下ちゃん”、
〝ギガント族:リノーチ〟、そして〝みなみ〟ちゃん。
またまた、僕は大将席に座らされる。
議題は大きく二つある。
1)“くつ下”ちゃんの案内で樹海を抜けてシャングリ・ラに向かう作戦について
2)ギガントが襲って来た理由について
短そうな2)の議案から討議することにする。話は簡単、“リノーチ”に聞けば良い。“リノーチ”が話し始める。それは、“ルサールカ”の差し金だった。なんとまだ僕を諦めていないのが分かった。でもここで僕は不思議に思ったそれは“ルサールカ”の屋敷には耳障りな狐人間や槍鬼が居たが、低レベルな魔物を配下としている“ルサールカ”が神話レベルのギガント族やガーゴイルのようなハイレベルな魔物を使役できるのだろうか?何か引っ掛かる。
ハイレベルの魔物を使役できるもっと大きな存在があるのではないだろうか?
そこに“ハクア”が質問を投げる。
「ギガント族への“御君様”襲撃の依頼は、“ルサールカ”一人でもたらされましたか?他に誰か一緒に居ませんでしたか?」
「老婆“ルサールカ”の娘が居ました。妖艶な娘で怪しき美しさが漂っておりました。」
「その娘は何か話しませんでしたか?」
「“御君様”は樹海を滅ぼす悪と涙ながらに説明され、初顔合わせの記念にとこのブローチをくれました。」
と、“リノーチ”が手に取り見せた途端、ブローチから禍々しい漆黒の霧が噴き出し始める。“リノーチ”は、ブローチを身体で覆い、“御君様”に影響が届かない様に捨身で庇おうとする。地面に伏した“リノーチ”が〈モコモコモコ〉と身体をへの字にして空中に浮き始める。あの小山の様な巨体が軽々と浮遊し、目線の高さまで浮くと停止して〈グルグル〉と回転し始める。回転はどんどん加速して〈キューン〉と弾き飛ぶ。
ブローチだけが、漆黒の霧を噴き出しながら浮遊して残る。
何時の間にか、僕と“みなみ”ちゃんの周りがライトイエローの光に包まれている。鴉天狗の光のバリアだ!
「“御君様”黄燐幕を張りました。暫し、ご窮屈ご容赦下さい」と、“ハクア”が声を張る。
〈ピシッピシッ、ピシッ〉と、3本のナイフがライトイエローの幕に突き立つ!
「イカン、鴉天狗!“御君様”を守るのです!!!!」“ハクア”が叫けぶ!
「ミガーーーーァ」“くつ下”ちゃんが必殺の爪を剥いて飛び掛かる!
「チクマクチクマクシャラララア〜、カーバンクル、ピキーンピキーン」“ジーク君”の詠唱が響く!
ほぼ同時!その刹那。。。
〈パラ、パラパラ、パラパラパラパラ。。。〉とゲリラ豪雨の様に砂が降り始めて砂で数秒視界が遮られる。
〈シュパーン〉と視界が晴れる。
視界に現れたのはブローチの周りを〈グルグル〉と砂が円球状にすっぽりと取り囲み回転している姿。
「いててて、もー砂かけ婆さん!あたしまで弾かなくていいんじゃないの」と“くつ下”ちゃんが地面に倒れて〈ぷんぷん〉している。
「やれやれ、若造どもに任せるとコレじゃて」と、地面が隆起して見る見る人型を形どる。造形された人型は、腰の曲がった老婆。自分の背丈の2倍の長さの杖を持っている。
「ちと、話は後じゃ、皆の衆“御君様”の側に移動してお守りするのじゃ」
「まだ、事は終息しておらぬぞ!さ、早うせい」
円球状の砂が〈パラ、パラパラ〉と綻び落ち始める。
「かなりの霊力じゃな、伴天連の化け物かえ」と杖を構える老婆。
「アハッハハハ、よくぞ。私の罠を封じましたね。褒めて差し上げますわ」
球体状の砂の中のブローチが小爆発する。砂で封じてあるので爆炎が球体内部で燃え盛るが外には出ない。炎が収まると人影が現れる。もう球体状の砂も消え去っている。
「お初にお目にかかります。私、慈悲無く支配するモノの女将軍“ベルフェゴール”と申します。以後お見知り置きを。。。」
「っ〜て、アハハハハハハ、そんな又なんて事有りゃしませんけどねぇ!」
ベルフェゴールが、漆黒のドレスを翻し右腕を顔の前から振り下ろす。斬撃のような衝撃波が飛ぶ。
〈バシュッ〉と砂かけ婆さんの左腕が〈ボトリ〉と切り落とされる。
砂かけ婆さんは、痛がる風もなく毅然と“ベルフェゴール”を睨み据えて微動だもしない。
「“ミケ”ちゃんやい、頼まれごとのお願いじゃ!孫娘の砂姫にコレをわたしてくりょ」と懐から巾着袋を出して、“ミケ”ちゃんに投げる。
「それでは、この生意気な伴天連の女を懲らしめるとするかの〜、《砂瀑布》」年の功なのか、会話言葉の中に呪文を織り交ぜるフェークを使う。
「しまった!」“ベルフェゴール”が顔を引きつらせて舌打ちした瞬間。。。砂の滝・瀑布に包まれる。降り注ぐ砂は、遥か上空から雷鳴を轟かせながらピンポイントに落ちてくる超重量の杭と化す。一瞬で“ベルフェゴール”は、ぺったんこになった。
だが、不意をついた砂かけ婆さんも袈裟斬りに斬撃を受けて身体が分断されていた。斬り裂かれた傷から砂が〈ポロポロ〉と漏れ落ちる。
時間が止まった様な静寂に包まれる。
「“御君様”誠に申し訳ございませぬ、初対面の儀礼も行わずこの様な醜態で最後のご挨拶をする事になりお許し下され。」
「ババは、大きくなられた“御君様”のお姿見れて嬉しゅうございまいたぞ。」「“ミケ”や!砂姫を頼むぞ、お姉ちゃんでござるからのぉ」
“猫娘:ミケ”に声を掛け終わると同時に、砂かけ婆さんの身体は砂塵に帰す。
“ベルフェゴール”の居た砂の山から黒い霧が仄かに湧き上がり、密かに密かに逃げ去る。。。
二つの巨怪が一陣の風と共に消え去った。