ティルナノーグ【Tir Na Nog】に憧れて ※カテゴリから見て下さいね。新しい順だけど小説が並ぶので読みやすいです。_(._.)_あ、不思議な写真もよく撮れるので文中に貼りますね。

頭の中で奏でる世界。命尽きる前に音符に書き出したいです。ケルト神話の神々の安寧の地ティルナノーグ。【常若の国】と呼ばれるその地に想いを馳せながら現世を綴ります。

【夕焼け空編6】許されざる、惨劇。きっと忘れない。

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ブワ〜んと、目の前が暗転。。。
真っ暗闇から明かりが戻る。
目の前には、角あるメェヘヘは居なくて。。。
少し先の暗がりにポツンと赤色球体が見える。
〝赤い玉の側まで走れ!〟と、帽子の声が頭に響く。
#帽子カラスは、まだ頭の上に居た。重くないから気が付かない#

暗がりに目が慣れてくると、〝なーんだ、日本の町中じゃないね!〟、
「カラスちゃん、日本の町だよね?」と聞くと、
とある海岸沿いの小さな町だと、帽子。
赤い玉は、交番のアレだねアレ。
#夢なんだよねと思いながら、言われた通りに歩く#

「止まれ!」と、交番の真横の電柱でカラス帽子の命令がでる。
何をするのか聞こうとしたら、白い犬がワンワン鳴きながら交番の真正面の商店街アーケード入口からものすごい勢いで走ってくる。
その少し後ろに転げ回るように走ってくる若い男。。。
その後ろ手には女の人を手で引っ張って。
ヒールから何かで走り辛かったのか裸足に見える。
ここは、丁度、アーケード入口に面した交差点の交番。
交番に駆け込んでいるんだなきっと。
ゴールイン!交番に転がりは入る。犬もゴールイン!
#ナイス!#

野次馬のように、交番内に何事かと入って聞こうと動こうとしたら。。。
「動くでない!」とくちばしでチクーって突かれる。

女の人の後ろ手アーケード入口から、沢山人影がゾロゾロと出てきた。賑やかになってきた。
若い男が、巡査に飛びかかる勢いで声を張り上げた。
「助けて。早く海岸へ、友達たちが化け物に捕まっている‼」
「早くはやく‼」。。。お巡りさん!

壁の方に机を置いてあるので巡査の背中に叫んでいる。
ノソリと、巡査が振り向く、ぎゅろろと瞼が下から出て来る⁈
男は吹き飛ぶように、真後ろにひっくり返って交番の壁に後頭部を強打。女は、巡査の顔を見て半笑い。。。

巡査は、ヌチャヌチャと耳元まで裂けている口をじゅるりと、人舐め。
まるで、魚類の顔。ヌラヌラした膚に。。。
多分、元は人間だったことを物語る
ように、警帽を被り頭髪も疎らに残っている。ぎゅろろと、下から瞼が閉じる目は、死んだ魚のあの目。
〝ヒイイー〟男は、一声吐いて動かなくなった、力が抜けたようだ。
女は、男の後ろ側だったので交番の入口に半身入れていた。
が、その外側にはゾロゾロと町の人。。。
いいや、人だった魚類の顔が真横に並んでいる。
赤いスカートの女性ぽい魚類。
パジャマ姿の子供の魚類と様々だ。

半笑いのまま振り返った女は、赤いスカートの魚類に、さとみちゃん、さとみちゃんだよね⁈と呟いてユラ〜っと、魚類の顔の群れの中に歩み寄る。

その時、パパパパッと乾いた音が唐突に響き渡る。
魚類が、ぶちゅぶちゅと肉片を飛び散らせ緑色の体液をまき散らせながら崩れ落ちる。
「こちら、空自異形種殲滅ストライカー部隊ワイルドウルフ隊、富山県警対策本部へ送れ」
「我ら遭遇!事象の発生を確認した。
これより殲滅開始。
本山町への流入道路て徹底封鎖願う送れ」

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ガーガーと、無線のノイズ音を出しながら、無線機を背負った自衛隊員?が現れた。電柱の陰から見えるのは4人。装備が凄い。
あれは、最新の89式カービン銃、銃身の下にはフォアグリップをカスタムしている。
銃底を肩口にあてがい顔を少し斜めにしながら、タタタタと滑るように魚類の群れに近付いてくる。
顔は硬式フェースガードで固め、目はサングラスのようなゴーグル、真横を通る無線機の隊員のゴーグル内に、電子液晶画面の光が漏れる。
片口には、おおお初めて見た!無線LANのアンテナもある。
という事は、全員が情報共有を無線LANで行い、後方にある司令部のスクリーンには、彼らが目視している映像が生中継されているだろう。
でも、やはりデカイなこれだけの電子装置を持つとバッテリーがネックだね。腰のデカイ箱、バッテリーだね。
まだまだだね〜。と、思いながら傍観しながら、カラス帽子に聞く。
「どうして、あたしは彼らに声掛けられないんすか?」
すかさず、「ケルノンクスの加護で、現し身だけの存在。
お主の実体はまだあの雪の広場のケルノンクスのまえに座ったままじゃ、視覚だけがココにあると思え」

#そうなんだ!現世でエンジニア職種で働いてて疑い深い割りには、深くは突かずに事象だけをまずは受け入れる、素直さが売り(笑)#

「じゃ、見えない存在の自分は見物してきていいのかな?」と聞くと、
一歩もこの電柱の陰から出てはいけない!人らに勘づかれるのは、どうとでも良いが、魚類にはそなたの存在が知れると、お主を加護しているケルノンクスまで危うくなる。ケルノンクスは、命懸けで膨大なマナを使ってお主に伝えるべきこの惨状を見せておるのだと説明される。

じっとしとく事にする。

89式カービン銃で、蹴散らされた魚類群の中から、逃げてきた女性を自衛隊員二人が引っ張り出す。
まだ、動いている。良かった。流石は自衛隊
女性が顔を上げる。。。。
口が、耳まで裂けている、、、
「下がれ〜!!」後方の4人目の隊長と思われる自衛隊員が叫ぶ!
1人の自衛隊員が、腕を掴まれた。

隊長も残りの1人も駆け寄り助けようとした時、交番の中から二匹の魚類が出てきた。一匹は、銃を隊員に向けて立て続けに発砲する。
もう一匹は、女だった顔半分魚類に近付いて行く。
六発の銃声の後、自衛隊員一人が倒れ伏し、残り一人は足を引きずり、隊長は、片腕をダランとさせて必死で足を撃たれた隊員を、魚類が溜まった死地からの退避を始めようと、商店街の方に向きを変えたが歩き出す事は出来なかった。
それは、いつの間にか彼等の後ろは魚類に埋め尽くされていたから。。。

ドンと、魚類の溜まった場所に白煙が上がった。倒れ伏した自衛隊員は、二人を逃がすために自爆した。血煙が残る。
#嘘、、、と、自分は呟く#

白煙の後、巡査と逃げてきた男も吹き飛んでいた。
ただ、逃げた男は、魚になりかけの女性の横で女性の手を握って事切れていた。
まだ、男は中身は人の意識を残していたのだろうかと思う。

逃げ場の無くなった隊長と足を撃たれた隊員は。。。
隊長が、ゆっくりとゴーグルを外してゴーグルのカメラに向かって話す。
「こちらワイルドウルフ隊 隊長 敷島三尉」
「日本のみなさんの武運祈ります。これより最終殲滅にはいります。
完全殲滅は無理と思われます、仕事が残り申し訳ありません。
最後に、お世話になりました!」と、にっこりと敬礼。
胸ポケットから、セブンスターを出してシュパッと、火をつけ、
ふーと吸い込む。
さてとお、ゴーグルを肩口にかけて、もう一人の隊員に声をかける。
「すまんかったな、斎藤、非番に呼び出してこの坐摩だ」
「お詫びは、靖国でな!」と駆け出す。

斎藤隊員がやれやれと、ゴーグルを外す。
「隊長〜どうも好かんのですよ、この生くさい奴らの匂い、あちらじゃ唐揚げでお願いします!」と隊長の後を追う。

「斎藤、グレネード弾二本、残段数80、手榴弾2」と日焼けた顔が伝える。
「敷島グレネード弾一本、残段数90、手榴弾2、コルベット残り12発」
と伝えながら前進する。
やおら立ち止まり、〝行くぞ〟と呼応し
二人、同時にグレネード弾を撃ち込む。
間髪入れずに敷島隊長が魚類の群れに向かって駆け出し、斎藤隊員の露払いをする。
だが、カービン銃を撃ちまくっても魚類の群れは肉の壁のように、次から次へと押し出して迫ってくる。
その時、後ろにいた斎藤隊員が、前転を三回して敷島隊長から、体1人分飛び出してパッと立ち上がり、隊長に振り返って、ドヤ顔しながら敬礼する。口元が「靖国で!」と動いた瞬間、閃光が走り白煙が残る。
自爆。。。

「バカヤローがーーーー」と、最後の拳銃コルベットを単発で撃ち込みながら斎藤隊員が開けた魚類の壁に向かって白煙の中に消える隊長。

銃声も消え、白煙が去ると三人の人間が幽鬼のように現れる。

「役立たずのインスマウスめ。
ダゴンの食物の役のみで良いモノを」と、金色の神官服の男がはなす。

「人族もインスマウスになる材料故に価値はあると分析する」と、薬剤師のような女が歌うようにはなす。

「虫けらめ」と、力士のような体格の男が。。。
敷島隊長の頭を鷲掴みにして、片手で掲げて、それを握り潰す。
血だまりの中に、セブンスターの箱が佇む。

自分は電柱の陰で放心して。。。ただ、見てた。

真上からドシャンと、重い物が落ちてきた。
無線機だ! そうだ、無線機の隊員が1人残っていた。
何故に上から。。。

ぶわ〜んと、青い色に包まれた無線機の隊員が降りて電柱の前に降り立つ。
「なんと、清廉なる戦士たちよ!バルハラの戦士に価する行いぞ。
この魂の輝き我も加勢せねばならぬ。
ケルノンクス、モルガン神々の祖との約定に抗うこと許されよ」

パーンと青い光が増し、そこに現れたのは、スパルタの戦士のような出で立ちのトサカ羽のある鉄兜、赤いマント、革のサンダルに、右手には巨大な剣、左手には光り輝く丸い盾。

「クククやはり、居たか!ダーナ神の戦士よ。酔狂よの〜
ケルト人の次は日本人に肩入れするか。」
金色の神官服がニヤケる。

「いざ、参らん、日出ずる国の戦士に報わん」
剣が青く輝き、槍に変わる。

「その槍、ゲイボルグ!ほーこれは、上々、ク・フリンが釣れるとは」と薬剤師風の女。

もうク・フリンと呼ばれた戦士は、何も喋らない。
ドーンと風圧の後の緑血煙が、舞ったあと、魚類のインスマウス人は一人も残ってなく。
人間?幽鬼三人とク・フリンが、より固まって立つ。
ク・フリンの槍ゲイボルグは、力士男の身体に突き刺さりガッチリと掴まれたまま動かない。神官服の男は、身体は消し飛び、生首だけで生首の付け根から生えた蛸の足のような触手で、ク・フリンを羽交い締めにしている。
薬剤師のような女だけが、ゆらゆらとク・フリンの後ろに立ち、目障りなダーナめ!と、どす黒い色の長い爪をク・フリンの首筋に突き立てる。
その刹那、ク・フリンは、唯一動く方向である力士男の身体に渾身の力で、突きを入れる。
ゲイボルグよ、不浄を消し去り、戦士の魂を讃えよ!」
言葉を残して光の屑となり霧散する。

ゲイボルグは、ク・フリンの意思を介して力士男を突き破り、神官服の男の首を突き消し、電信柱に一直線に飛んでくる。
電柱の陰に沿い立つ自分の身体に触れる瞬間に、ぶわーんと目の前が暗転し雪の広場に戻る。
ケルノンクスの後ろの木には、ゲイボルグが突き立っている。

放心というより、涙が止まらん。
何なのこれは、惨劇過ぎる。日本人が日本人がやられた。
そして、仁のあるク・フリンの男気。。。

ケルノンクスが、静かに語り始めた。