ティルナノーグ【Tir Na Nog】に憧れて ※カテゴリから見て下さいね。新しい順だけど小説が並ぶので読みやすいです。_(._.)_あ、不思議な写真もよく撮れるので文中に貼りますね。

頭の中で奏でる世界。命尽きる前に音符に書き出したいです。ケルト神話の神々の安寧の地ティルナノーグ。【常若の国】と呼ばれるその地に想いを馳せながら現世を綴ります。

【遊びをせんとて編2】脅威が遠退き、余裕の回想に耽る。 副題:いいんじゃないかな〜これも。

 

◇どうもオケラのようだ。多分、自分は人間だった筈。記憶がしっかりある。転生者の物語は数あれどオケラとはね〜。

お寺で法事の時にお坊さんの説法で生まれ変わりは人間でない場合もあり、それは生前の日頃の行いに依ると言ってた。残っている記憶を振り返ると自分は確か中学二年生で男子。最期の瞬間はちょっと朧げだけど不動岩という巨岩のある山に一人で自転車漕いで行って、不動岩そのものに登ってそこから落ちた!そう落ちた、そこで記憶は途絶えている。気がついたら苔の上で夕焼けの眩しさで目を細めて居た。

どんよりと回想する余裕があるのは、地中深く潜って鳥の脅威が消えたから。やけに落ち着くよ。土の中は。苔がむす位に土壌は極上の様だ。程よい湿り気と粘り具合。。。「ウ〜」思考がオケラだ。。。
とほほ、ほ、泣けてくる。でも何気に落ち込む気持ちは芽生えない。この暗闇と、土の感触、落ち着くよ。静けさも半端ない。
生前の僕は、クラスでは賑やかしの部類で友達の真ん中にいつも居た、虐められる風もなく、ある程度自分の立ち位置も確立させた安泰型の中学生。でもね一人が好きだった。下校時は幾人かの友達の誘いを振り切り、家に帰り着くと家の中の所定の位置に寝転び、ボーッとするのが日課だった。妹と一緒の勉強部屋はあったけど、テレビが置いてある部屋の片隅の人ひとり分の細長い段の上に横たわる。そして目を瞑って、お袋の何でそこが気に入ってるんだろうね〜とボヤキを聞くのが定番の日常だった。もしや望んでいた世界観を手に入れたのか?ハハハ、でもオケラとはね〜。

オケラは嫌いじゃない。小学校低学年の時は昆虫博士と呼ばれる程の昆虫通で図書館の虫でもあった。そんな通の僕がカブト虫やクワガタ虫のカッコいい系の虫よりも心の和み部分で最も気に入っていたのはオケラだった。長雨が続く梅雨の時期、田んぼのあぜ道にひょっこり居るのがオケラ。手で掴むと噛む事もなく、手で覆うと健気に前脚で指の間を押し分けて外に出ようとする。その前脚の力が意外に大きくてびっくりした。ひっくり返してプニュプニュスベスベの腹を撫でるのも好きだったな〜。いつの頃からか梅雨になってもあぜ道に目を落とす事もなくなり忘れ去った楽しみだった。